DIY日曜大工で家をつくる
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家を建てるのに必要な図面とは?


建築の図面というと専門家の独壇場と考えていませんか?

でも自分が住む住宅について、設計施工に必要な図面を自ら描くことは、そんなに難しいことではありません。

延べ床面積100㎡までは、無資格者でも木造の自宅を設計することは法的に可能なので、私も自宅は自分で設計し、図面を描き、役所に提出して確認申請を受けました。

実際に家を作る際にも、必要な図面を自分で描いてきました。 さて、それらはどんなものかといいますと・・・

注意!

このページは2004年に書いたものですので、現在の法規制に当てはまらない部分があります。
参考程度にご覧下さい。m(_ _)m



法的に絶対必要な図面


家を建てるためには、役所(大抵は市町村を経由して都道府県の建築担当部署で審査、または最近では民間の審査機関で審査)に建築確認申請書を出さなければなりません。 これは、建築基準法で決められています。

※ 関連ページ
  ⇒ 建築確認申請が必要な場合とは



だから、この申請書に添付が義務付けられている図面が最低限、法的に必要な図面ということになります。
その図面の種類とは、

付近見取り図

家を建てようとする場所と、その周辺の見取り図(絵)。

要するに、現場の位置が第三者にわかるようになっていればいいのであって、縮尺などはどうでも良いのです。
宴会があるとき飲み屋の場所を紙にサラサラと書いて友人に渡したことはありませんか? あんな感じです。誰でも書けます。

配置図

この辺から図面らしくなってきます。

敷地の形や大きさ、建物がどの位置に建つのか、道路の幅員や道路までの距離などを図示します。

敷地の形状や寸法は、土地を購入したときに不動産屋からもらう土地の求積図をもとに、書いていきます。

土地の面積の根拠を示すため、敷地をすべて三角形に分割し、それぞれの三角形の底辺、高さを図示します。

平面図

最もポピュラーで最も使用頻度が高い図面が平面図。 間取り図だと思えばいいです。

建物の縦横、主要な間仕切り間の寸法などを書いていきます。1階2階それぞれに描きます。

これを書くのは簡単・・というより楽しい作業になるでしょう。 自分たちの家の間取りを紙に書くということはワクワクするものです。

ただの間取り図と違うのは、筋交いの配置を図示したり、開口部(窓など)のサイズを示したり、基準となるラインに番号をつけて表示したりするところが、ちょっと専門的かなと思う程度です。

立面図

建物を真横から見たときの姿を図示します。
どちらか2方向からだけでOKです。それらしい絵がかけていればいいです。(ただし縮尺は正確に)

し尿浄化槽または合併処理浄化槽の見取り図

し尿浄化槽または合併処理浄化槽を設置する場合は、その形状とか構造・大きさを描くことになっていますが、 我が家の場合は雑排水処理が浸透枡だったので、簡易水洗便槽についてのみ書きました。

壁量計算書

これは図面ではないですが、建物の構造上の安定性を確認するために、耐力壁の配置や数量を計算したものを添付します。

建築士が設計すると、これの添付は省略可能だそうですが、素人が行なう場合は、床面積50平米以上だと必ず求められます。

関連ページ
耐震性を確かめる方法(壁量計算) 建築確認申請を建築士に依頼するメリットなど


以上が最低限必要な図面であり、第三者に提出するものなので、ある程度きれいに書けていなければなりません。

縮尺は、平面図が50分の1、立面図が100分の1くらいでいいようです。厳密に決まっているわけではないですが・・・

手書きする場合は、大き目の三角定規2枚を買って、シャープペンシルで原稿を書けばいいです。
平行線も垂直も、三角定規2枚で自由に書けます。
(片方の定規を固定して、それにもう一方の定規をあててスライドさせれば平行線は書けます。・・・念のため)

ちょっと大きな文具店にいけば、建築用のマイラー図面ということで用紙を売っています。一枚250円前後です。これに書いたらコピー店でコピーすれば完了です。これだとプロが描いた図面っぽく見えます(^^)v

でも用紙の指定があるわけじゃないですが・・・

さて、2003年7月に建築基準法が改正されたため、その後は上記に加えて、換気計画をどのようにするか示した図面を提出しなければならなくなりました。

換気計画図は、平面図を簡略にしたような図面上に、吸気位置、排気位置、ダクトの経路などを記入し、
別途、居室の空立積(容積)や換気能力の計算書を添付しますが、計算書は換気設備のメーカーで作ってもらえます。

【 注意 】
 上記のことは私の建築確認申請及び変更申請当時の経験をもとに書いていますので、2007年6月にあった建築基準法の大改正以降のことには対応していません。ご注意ください。

今現在は、個人で申請する場合、必要な図面が増えたとか使用する材料の認定書を求められたとか、経験者の方からのそのような情報も耳にします。

以前より面倒になったとの話もあるので、実際にやられる場合は、自分で図面を描いた場合でもやはり建築士に相談するのがベストかと思います。


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施工する際に必要になる図面


これ以降は、セルフビルドの場合自分しか見ない図面になります(^^)v

伏図

伏図(ふせず)とは、乱暴な言い方をすれば、建物を水平に輪切りにしたときに現れる構造の図面のことです。

だから一枚だけではなく、下から上まで各階層ごとの伏図が必要になります。
「基礎伏図」「1階床伏図」「2階床伏図」「小屋伏図」「屋根伏図」といった具合です。
梁や桁の寸法などを書き入れます。

軸組み図

伏図が建物を水平に切ったときに真上から見た図面とすれば、こちらは壁を縦に切って真横から見た図面になります。
柱や梁、桁、筋交いの配置を図示します。

矩計図(かなばかりず)

建物を垂直に輪切りにしたときの詳細な図面です。

高さ関係の詳細な寸法、基礎や床の構造、壁の断面構造、屋根や屋根裏の構造、それらの使用材料などが一目でわかるもので、実際の施工の際には見る機会が一番多いと思います。
それだけに細かいところまで位置関係や寸法がわかるようになっています。

断面図

これも、建物を垂直に輪切りにしたものですが、矩計図が細部を詳細に図示しているのに対し、断面図は建物全体の高さだとか、1階と2階の間の寸法など、大きな部分、基本的な寸法を図示します。比較的おおざっぱな図面です。

電気配線図

自分で電気配線する場合はもちろん自分で書きます。 施工の際に必要なのはもちろん、最後に電気引き込みを電力会社に申請する際には必ず必要になります。
これは無資格者では工事できないので、私は独学で第二種電気工事士の資格を取ってやりました。

外注するなら、照明やコンセントをどこにどのくらいつけたいか、平面図にでも書いておく必要があります。

関連ページ
DIYによる電気の屋内配線 第二種電気工事士の資格を取るには

給排水衛生設備図

給水、給湯管、排水管の配管図ですが、我が家では結局これはつくりませんでした。
水道工事は外注しましたが、業者とはすべて現場で口頭でやりとりしたため図面はありません。(もちろん契約書はありますが・・・)


以上がセルフビルドで建てる場合でも通常必要になる図面です。

このほかに、ハウスメーカー、工務店の施工では、展開図、建具表、各種詳細図等々・・・多岐にわたる図面を使うそうです。
なにしろ設計者と施工者が違うので・・

さてこれらの図面は、自分で家を作る場合は、どこかに提出する義務があるわけではないので、自分さえわかれば良いのです。
私の場合は、文具店で売っているB4版の方眼紙に、鉛筆で書き込んでいました。
特に書き方のルールなど気にせず、自由に書けばいいのです。

ただしこれらを書くにはある程度設計の知識がないと出来ないので、木造建築の本を読んで勉強してからになります。

自分が必要と思ったら作成する図面


例えば、刻みの際の材料の継ぎ手の位置や寸法、電気配線のジョイントボックス内の結線図などです。

これはまさに自分のためのメモのようなもので、大工さんや電気屋さんなどのプロは通常頭の中で理解できているからわざわざ図面にしないでしょうが、素人の場合は、ノートでもなんでもいいから書いておいた方が確実というものです。

以上、いずれの図面も内容をある程度勉強しないと書けませんが、「きれいに書かなければいけないか?」というと、建築確認申請に必要な図面以外は自分さえわかればいいので、ノートに鉛筆書きでもなんでも良いのでした(^^)v

書いた人 ・ 運営者

氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。




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