手作り収納棚(小型・隙間タイプ)
洗面台横の壁面に取り付けた小物入れの手作り収納棚を例に、その作り方をご紹介します。
私が考える「手作り収納棚」のコンセプトは・・・
- 使い勝手が良い。当然、自宅の隙間にピッタリサイズで収まる。
- 大型の工具がなくても出来る。
- 材料費を出来るだけ安く抑える。
- 市販のものにはないオリジナルの味がある。
・・という贅沢なものです・・(笑)
もっと素晴らしい隙間収納棚は世の中にたくさんあると思いますが、こういう作り方もあるんだということでご笑覧ください(^^ゞ
製作前と製作後の状態
洗面台の右横に、何も無い隙間スペースがあるので、写真の白い点線で囲った場所に壁面収納棚をつくります。
DIYなので寸法は自由自在です。隙間にぴったりとはまる寸法にします。
洗面台の色がホワイトなので、それに合わせて収納棚もホワイトにしました。
収納棚本体と扉の材料は、厚さ15ミリのシナランバー合板です。これに白く塗装します。
扉の開閉には、スライド丁番を使うと丁番が表から見えずスッキリして見栄えはいいのですが、なにしろスライド丁番は価格が高い(ホームセンターで1個420円でした。)ので、扉2つだとスライド丁番だけで1680円!!
よって、「出来るだけ安く」をモットーにしている収納棚としては、1セット230円のカラー丁番を使うことにしました。
カラー丁番といえども、棚本体の色が白で、丁番が黒(ブラック)ですから、結構アクセントになって格好いいですよ。
扉をあけた状態です。
奥行きは洗面台にあわせるので、せいぜい10cm弱というところですが、それでも洗面所で使うような小物は収納できます。
右側も壁についているので、丁番を扉の後に取り付けてしまうと、扉の開くスペースがなくなるため、丁番は扉の横、木口面に取り付けます。
スライド丁番にすればこの問題は解決しますが、スライド丁番は値段が高いので普通の丁番にしたのです。
「取っ手」の上にはフクロウとリスのマスコットが乗っています。 もちろんこれも手作りです。
材料一覧
シナランバー合板やプリントベニヤは、我が家にあった残材を使ったのでほとんどタダでしたが、もしも新たに購入するとした場合で計算しています。
総額 2920 円となりました。(作ったのは平成17年頃です。)
使った工具一覧
- 丸ノコ (木材を切るのに使いますが、無ければジグソーでもいいし、それも無ければ手ノコでも十分)
- ドリルドライバー (またはインパクトドライバー、無ければ手回しのドライバーでも大丈夫)
- トリマー (丁番の座堀りに使いますが、無ければノコギリとノミでも大丈夫)
- ディスクグラインダー ( リスのマスコットなどを荒く削りだすときに使いましたが、無くともナイフでも大丈夫)
- のこぎり
- さしがねとスコヤ (スコヤが無ければさしがねで代用)
- カッターナイフ
- クランプ (材料の固定用。無ければ片手で押さえて固定しますが、出来ればあると安全)
- サンドペーパー(紙やすり) #180 ~ #400 くらいまで
- 刷毛 (ニス用刷毛)
- ウェス (着色剤のふき取り用)
本体の製作
本体の木取りですが、左の図のように 910 × 910 の合板から全部切り出し出来ます。
材料は、暑さ15ミリのシナランバーコア合板です。
丸ノコ(電動のこぎり)を使って板の切り出しをしています。
板を縦に切るときは、写真にような付属の平行ガイドをつければ、巾の同じ板が簡単に切り出せます。
(テーブルソーがあればこういう加工はベスト)
丸ノコがなければ、ジグソー、あるいは手ノコでもOK
今度は板を横に切ります。
正確な直角を出して切るためには「スライド丸ノコ」や「テーブルソー」などの本格的な木工工具があれば便利ですが、そのようなものがなくとも、写真のような「直角切り冶具」を自作しておけば、丸ノコのベースプレートを冶具にあてて切ることにより正確な直角が得られます。
「直角切り冶具」は、狂いのない真っ直ぐな木材2枚を、外側が直角になるようにビス留めするだけでできます。
切り出した板の直角をスコヤ(直角定規)でチェックします。
ここで直角が狂っていると、上下2枚の扉を開閉したときにぶつかったりして不具合が生じてしまいます。
側板と棚板を、ドリルドライバーを使ってビス留めしていきます。
この程度のものならば、特に接着剤は必要ないでしょう。
板の厚さが15ミリしかないので、ビスは「スリムビス」という細いものを使いました。
隙間に入れる収納棚は、側板の外側が隠れて見えなくなるので、外側からビスを打っても全然問題ないのです。
本体を組み上げたところです。
扉の丁番側である右側板は、扉の板厚さ分だけ前に出ています。
コツとしては、棚板の巾を側板より2ミリくらい狭くして、奥に引っ込めることです。こうしておけば、わずかな誤差で扉が閉まりにくくなったりすることを防げます。
丁番の取り付け
扉に丁番を取り付けるため、丁番が取り付く場所に丁番の厚さ分だけ掘り込みを入れます。
掘り込みはノコギリとノミでも出来ますが、トリマーを使ったほうが掘り取った底を簡単にきれいに平らに出来るので、今回はトリマーを使います。
トリマー本体と、ストレートビットφ10ミリ、ビットを装着するための付属のスパナ2本
スパナ2本を使ってビットを装着したところ
トリマーのベースプレートから、ビットの先端が何ミリ出ているかで掘り込み深さが決まるので、スコヤなどを使って慎重に調整します。
丁番の厚さ分だけ掘り込みます。
板の木口(こぐち)に掘り込みするため、材料をしっかり支えないと危険です。
適当な場所にクランプで固定します。
材料は、無垢の木材と違い合板なので、トリマーのビットが当たった瞬間に外側のベニヤが衝撃で縦に繊維に沿って裂けてしまいます。
それを防ぐために、掘り込み底に当たる部分を、ケビキの刃を使ってあらかじめ繊維を切断しておきました。
今回は「ケビキ(毛引)」という木工道具を使いましたが、別にケビキがなくとも構いません。板切れを定規にしてカッターナイフで切っても同じことです。
・・という感じ。
材料にベースプレートをしっかり当てながら、トリマーで掘り込みします。
掘り込んだ部分に丁番を置いてみました。
塗装
着色塗装をします。 洗面台が白なので、同じく白に塗装します。
塗装する場所は埃が出ないところがいいので、普段あまり人が行かない廊下に、カラーボックス2個と板で仮設の塗装コーナーを設けました。
塗装の手順は・・・
- 素地調整(サンドペーパーで軽く表面を研磨)
- 着色材(ステイン)を刷り込む。
- 透明なニスを塗る。
各工程は乾燥させながら何度か繰り返し、その合間にサンドペーパーで軽く研磨します。
まずは素地調整。#240 のサンドペーパーをかけました。
白く着色します。 ワシンの水性木部着色剤ポアーステインを使いました。
刷毛で薄く塗り広げます。 刷毛でなくウェスでもいいです。
乾かないうちにウェスで着色剤を刷り込むようにしながら余分な着色剤をふき取ります。
着色剤が乾いたら、軽く#400 くらいのサンドペーパーをかけてザラつきを取ります。
着色は2度塗り重ねました。
この収納棚は隙間に入れるものなので、側板の外側の面は塗装する必要がありません。内側だけ塗ります。
板の木口は塗料をよく吸い込むので、塗料はたっぷりと塗ります。
今度は透明なニスを塗ります。
液がたれないよう、出来るだけ薄く均等に塗っていきます。
ニスも2回塗り重ね、1回ごとに乾いたら#400 くらいのサンドペーパーをかけます。
ニスなので完全に塗りつぶされるわけではなく木目が透けて見えますが、それでも大分白くなりました。
フクロウとリスのマスコット作り
アクセントとして、扉の取っ手の上にフクロウとリスを置くことにしました。
端材の上に書いたフクロウの絵です。下手・・・(^^ゞ
絵に沿って、大雑把にノコギリで型を切ります。
一度にフクロウの部分だけ切り取ってしまわずに、作業がやりやすいよう、材料は大きいままで加工します。
材料をクランプで固定してから削り取るのですが・・・
ディスクグラインダーにペーパー砥石を取り付けて、少しずつ角度を変えながら削ると楽に早くできます。
もっと複雑な形のものなら、ナイフなどを使うといいでしょう。
荒削りでこのようにしたら、サンドペーパーで滑らかに仕上げます。
リスの方はこうなりました。結構複雑そうに見えても、ディスクグラインダーで削れます。
なお、こういう小さなものには軸を挿しておくことと、その軸を挿しこめる穴のあいた台を用意しておくと、絵を書いたり乾燥させたりするときに便利です。
アクリル絵の具を使ってフクロウの絵を描いた後、収納棚本体と同様に透明ニスを塗って仕上げます。
「取っ手」は適当な無垢の材料をわざと不規則に削りだし、扉と取っ手の両方に穴をあけたあと、丸棒を木工ボンドで接着しています。
フクロウと取っ手の接合は、両方に細い穴をあけ、ビンドを塗った細軸を挿し込んで固定しています。
細軸は市販の木製丸棒でも良いし、今回は端材から削り出しました。
リスの方はこうなりました。 リ・・リスに見えますかね?
妻からは、エジプトのツタンカーメンのようだと言われましたが・・・(^^ゞ
組立て・取り付け
扉の木口に丁番の取り付け
板と丁番が完全に平行になっていないとスムーズに開閉しないので、キリでビスの下穴をあけるときには慎重に行ないます。
今回は柔らかいシナランバーの木口なので、下穴はあまり深くせず、ほんの少し突き刺す程度にしておきます。
扉と本体にローラーキャッチを取り付けた状態。
でもこれはきつ過ぎたので、後でマグネットキャッチに取り替えました。
背板は、白く塗装済みのプリントペニヤを裏からビスで固定します。
プリントベニヤは厚さ3ミリ以下なので、カッターナイフで切ることができます。
壁面へは、背板から壁下地の位置にビスを打って固定します。
背板は薄くて強度不足なので、あらかじめ厚さ10ミリの板を2枚、背面に固定しておきます。
壁面へ固定するビスはこの板のある位置で行ないます。
写真の板の中央に凹があるのは、電源コードをつぶさないためのものです。
・・・というわけで完成です。
氏家誠悟(seigo uziie)
2004年からこのサイトを運営している個人です。自分で家2棟、小屋2棟をセルフビルドしました。「自分でわが家を作る本。」の著者です。
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